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2024.11.19

第35回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース参戦記  35周年、新たなるスタート!

年に1度の大運動会、「メディア4耐」の季節が今年もやってきた。新しいことだらけの節目の大会でENGINEチームもリニューアル。心新たに、5人で一生懸命バトンを繋ぎました。

文=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=神村 聖

今年はマツダ・ロードスターにとって節目の年である。1989年に初代ロードスターが誕生してから35周年。そして年に1度の自動車関連メディアが集うお祭りとして開催されてきた「メディア4耐」も35回目を迎えた。長い歴史を持つこのレース、今年は新しいこと尽くしだった。

まず、レース車両がリニューアルした。ND型デビュー以来、昨年まで9年間活躍したマシンが引退し、昨秋に大幅改良を受けた最新型に生まれ変わった。これまでは助手席シートや内装が剥ぎ取られたN1仕様だったが、今回からは市販のNR-Aグレードそのもので、装備されるロールケージやバケットシートなどは、ロードスターによるワンメイクの「パーティレース」仕様。市販のロードスターで競うレースとして、より身近に感じられるようになったのだ。

燃料も変わった。ハイオク・ガソリンに代わり、S耐でマツダ、トヨタ、スバルが研究開発を進めるカーボン・ニュートラル燃料(CNF)が採用された。4耐はもちろん、モータースポーツを末永く楽しめるようにするための手段のひとつであるCNFを、多くのメディア関係者に体験してほしいのだという。しかしこのCNF、従来よりも燃費が悪いという噂! 各チームのデータはリセット状態。果たしてどうなる?

そんな今回は、エンジン・チームのメンバーも一新。本誌からは、昨年は海外出張で無念の欠場となった総編集長の村上と、昨年4耐デビューした私、村山。そこに、エンジン・プレミアム・クラブで実施したオーディションを勝ち抜いた会員代表の武田さん、クラブ運営で協業するHCギャラリーから大田さん、島さんをゲストに迎えた5人で臨んだ。

予選を任されたのは、ロードスターでサーキットを走るのも、筑波も初めてという島選手だが結果は上々の6位。2位から6位までの5台はコンマ3秒の間に入る接戦だった。さすがは昨年のヤリス・カップ東日本シリーズ・チャンピオンである。

名誉のハンディ・ストップ

そして決勝。今年は厳しい戦いとなった。昨年、通算3度目の優勝を飾った我らがエンジン・チームには、4分30秒もの重すぎるハンディ・ストップが課されてしまったからだ。

スタート直後の混戦を避けるべく、第1ドライバーの村上選手が1周目でピットインし、すぐにハンディ消化する作戦に出た。イン・アウトのロスも含めるとちょうど4周分の遅れである。あれよあれよと順位は最後尾の20位へ。さあ、追い上げだ!

村上選手は怪我で治療中の左肩を労りつつも、新たな燃費走行テクニックが功を奏したのか、まずまずのペースと燃費を維持して45分間を無事に走りきった。第2走者、EPC会員の武田選手の走りはどうか?

かつてNB、NC型ではパーティレースにも出場していた武田選手。筑波を走るのは15年ぶりだと心配そうだったが、いざコースインすると、燃費をキープしつつ、村上選手を上回る安定したペースで45分間を走破。

開始から90分。ちょうど日没のタイミングでバトンを受け取ったのは私、村山。レース開始前からわずかに降っていた雨はいよいよ本降りに。路面もフル・ウェット状態になった。

そんな中、さらなるペース・アップに成功し、積算燃費も0.1km/リッター向上。自前のロードスターで走り込んだ甲斐もあったと思うけれど、何より心強かったのは、新型車両に装備された「DSCトラック・モード」だ。多少のテール・スライドでは介入せず、スピンモードに陥るのだけを防ぐこの制御は、やはりあるだけで安心する。それに、コーナリング中のリア内輪に僅かなブレーキを掛けて姿勢安定を図るKPCが、スリッピーな路面では効果てきめんだった。改良されたLSDの効果も相まって、コーナリング時の安定感がまるで違うように感じられたのだ。

いよいよ終盤。雨は一向に弱まらないまま、20リッターの給油を含む4分間のピット・ストップで島選手に交代。

島選手、一時は全チームのベストタイムで猛追するが……インフィールドの高速コーナーで足を取られ、痛恨のクラッシュ。幸い怪我はなく、クルマも走行継続には支障がなかったけれど、新車下ろしたてのレース車両はフロントを中心に、ボディ全周にダメージを負ってしまった(涙)。

ガス欠寸前の緊張を味わう最終ドライバーは、昨年に続き大田選手。上位争いは期待できない今年はとにかく完走するのが第一目標だ。例年通り、最後の数周ではガス欠するチームが続出するのだが、大田選手は着実な走りで11位チェッカーを受けた。……直後の1コーナーでガス欠。燃費マネジメントもピッタリだった。

もし4分半のハンディが無ければ、表彰台争いが出来たはず……?! 来年は優勝奪還を狙います!

今回、メディア4耐が「最も長く続いている自動車のワンメイクレースシリーズ」として、ギネス世界記録™に認定された。

第1ドライバー 村上 政(ENGINE編集長)

2年ぶりのレース復帰、しかも新型での初戦ということで、準備万端で臨むつもりだったのに、なんと8月に左肩を骨折し、半分だけくっついた状態で走ることに。ハンドルもシフト・レバーも痛くて思うように動かせず、タイムも低迷。チームのみなさん、ゴメンナサイ。来年こそは準備万端で臨みます。

第2ドライバー 武田浩一(EPC会員)

エンジン・プレミアム・クラブ代表として、参戦させていただきました。15年ぶりのレース、さらに初めてのレーシング燃費走行ということで、苦戦しました。走行の中で学習と修正を繰り返し、ペースが掴めたのは後半、足を引っ張りました。もし次の機会があるならば、みっちり練習して臨みます。

第3ドライバー 村山雄哉(ENGINE編集部)

新型ロードスターの運転がとても楽しくて、あっという間の50分間でした。夜の雨という悪条件でしたが、マイ・ロードスターで走り込んだ筑波サーキット、ペースも燃費も納得の走りができました。でも、オーバーテイクの掛け方にはまだ伸びしろあり。もっと経験を積んで、来年は表彰台に戻りたい!

第4ドライバー 島 拓海

初の4耐、初ロードスター、初の筑波と初めてづくし! 夜+雨のサーキットは危険がいっぱい。つるんと滑り、壁にヒットし2回転半の大スピン……要らない初クラッシュまでしてしまいました。マツダさん、ごめんなさい。リタイアにならず良かった。でも、このままじゃ終われない……リベンジさせてください!

第5ドライバー 大田優希

今年の4耐も昨年に引き続き最終ドライバーを任せてもらえました! 決勝では雨が降るという幸運もあり、燃費をあまり気にすることなく楽しく猛プッシュ(笑)。それでもガス欠ギリギリでのチェッカーでしたが意外と落ち着いているもので、最終ドライバーも板についてきましたかね? 来年は絶対優勝!!

佐野順平(チーム監督)

長時間の応援ありがとうございました! 今年から新しい車両&燃料になるということで重要なデータ取りの役割を仰せつかり(押し付けられ?)監督という大役をいただきました。流石に4分30秒のハンデを背負っての優勝争いは厳しかったけれど、最後は11位と、ぼちぼちの戦績となって良かったです。