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2024.09.10

郷愁を帯びたパリを描く“現代の印象派”、ギィ・デサップの来日絵画展 開催

この夏、オリンピックの熱狂の舞台となり、改めて世界の注目を集めた“花の都”パリ。そのパリの風景を長年描き続けて、“現代の印象派”と呼ばれるフランス人画家がいるのをご存知だろうか。

その名は、ギィ・デサップ。彼が印象派になぞらえられるゆえんは、デサップの描くパリが、写真のようなリアリズムによるものではなく、何よりも自分の感じた印象、もっと突き詰めて言えば、自らの記憶の中から呼び起こされた心象風景を、とりわけ光と影のコントラストを際立たせながらカンバスに写し取ったものであるからだろう。

「パリ、シャンゼリゼ」油彩
「パリ、シャンゼリゼ」油彩 30号(73×91cm)税込352万円

そのどこか郷愁を帯びた風景は、ある時は、かつて世界中のアーティストたちが憧れ、そこを目指した、1920年代のエコール・ド・パリ時代の街並みを思わせ、またある時は、1938年生まれの画家が青年時代に見たであろうパリや、あるいはもっと時代を遡って、19世紀の馬車が石畳の道をゆく実際に印象派の画家たちがそこにいた時代のパリを想起させるものにもなっているのだ。

夕暮れのモンマルトルやサンジェルマン・デプレ、夜のシャンゼリゼ‥‥。光と影を際立たせた圧倒的な筆力を持もって描かれたパリの街並みを見ていると、ウディ・アレン監督の映画『ミッドナイト・イン・パリ』ではないが、あたかも、画家の心象風景によって描かれた古き良き時代にタイムスリップしたかのような錯覚に囚われそうになる。

「パリ、バスティーユ広場」油彩
「パリ、バスティーユ広場」油彩 20号(60×73cm)税込264万円
「パリ、エッフェル塔」キャンバス
「パリ、エッフェル塔」キャンバス、ジクレー 8号(38×45cm)税込28万6千円

しかし、デサップの経歴を紐解いてみると、必ずしもパリだけが彼の作品の舞台になっているわけではないことを知らされる。20代前半の若き日には、ヴァン・ゴッホに憧れて南仏アルルに赴き、極貧の中で絵だけを描く生活を送ったりしたという。その後、同じく南仏の高級リゾート地、サン・トロペで観光客に絵を売る生活を過ごした後、ヨーロッパを放浪する旅の中で出会ったのが、画家のパリと並ぶ重要なテーマとなる都市、“水の都”べニスだ。さらに「自分の想像力の外に出たい」と思って世界地図を広げてダーツを投げたら、たまたまそこに刺さったからという理由で26歳の時に訪れ、結局はそこで本格的な画家として活動していく足掛かりを掴み、そのまま永住権を得て40歳でフランスに帰るまで定住することになるのが“第2の故郷”ニューヨークで、デサップはそうした街を題材にした作品も数多く描いている。ただし、すべてに共通するのは、どれも現実の街そのままではなく、彼の心象を色濃く投影した記憶と現在を行き来する風景であることだ。

「ベニス、グラン・カナル」油彩
「ベニス、グラン・カナル」油彩 12号(50×61cm)税込176万円
「NY、5番街」油彩
「NY、5番街」油彩 6号(41×33cm)税込110万円

いったい、この画家は自らの中に、独自の心象風景を汲み出すどんな井戸を持っているのだろうか。ぜひとも尋ねてみたいものだが、この秋、そのデサップが、久々に来日することが決まった。大阪と東京で開かれる個展の会場でご本人に会うことができるという。86歳という高齢を考えれば、来日するのはこれが最後になるかもしれないことは、改めて言うまでもあるまい。すでにデサップの作品をよく知っている人はもちろん、まだ見たことのないという人も、この特別な機会を逃さない方がいいだろう。百聞は一見に如かず。まずは、デサップの圧倒的な筆力で描かれた独自の作品を、間近でご覧になることをお勧めする。

文=村上 政(ENGINE編集部)

参考文献:『パリを描く現代の印象派 ギィ・デサップ』(発行・パブリック・ブレイン、発売・星雲社)

エンジン・プレミアム・クラブ会員限定!ギィ・デサップ来日絵画展 特別枠のご案内

独特の郷愁を帯びたパリの風景を描き、“現代の印象派”と呼ばれるフランス人画家、ギィ・デサップ。今年で86歳になる画家本人が、東京と大阪で開かれる個展に合わせて、久々に来日することが決定しました。デサップの作品は世界の中でも、とりわけ日本で人気が高く、今回の個展でも一般枠はすぐに埋まることが予想されるため、EPC会員のための特別枠を設けてもらうことになりました。こちらも先着順で定員、各日4名までの募集となりますので、お早めにお申し込みください。
当日、作品をご購入いただいた方にはサイン入りの画集に加え、EPC会員限定特典としてポストカードをプレゼントします。

クルマが実際に乗ってみなければ、いくら写真を見て、スペックを知ってもその本質はわからないように、音楽が生で聞かなければ、いくらレコードやCDを聴いても本当の微妙なニュアンスはわからないように、絵画にも実際の作品を目の当たりにしなければ知ることのできない、独特のタッチがあります。とりわけ、デサップの作品は、絵の具の中に砂や樹皮など様々なマテリアルを混ぜるなどして生み出されており、その圧倒的な迫力は実際に画面を目の当たりにしなければ伝わらないものです。ぜひ、この特別な機会に、デサップの作品をご自分の眼でご覧になり、画家本人と交流していただきたいと思います。

イベント概要

【日時・場所】
2024年10月12日(土)
17:30~18:15
翠波画廊 大阪店 
大阪市北区梅田2丁目2−22
ハービスPLAZA ENT 3階
TEL:06-6867-9570
https://www.suiha.co.jp 

2024年10月13日(日)
17:30~18:15
翠波画廊 東京店 
東京都中央区京橋3-6-12 正栄ビル1階
TEL. 03-3561-1152
https://www.suiha.co.jp

2024年10月14日(月・祝)
17:30~18:15
ダイナースクラブ 銀座プレミアムラウンジ
東京都中央区銀座5-6-2 銀座七宝ビル8
https://www.diners.co.jp/ja/cardlineup/ginzadiners.html#premium

【募集人数】
各日4組(同伴者可)
先着順

【参加費】
無料

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ENGINE本誌およびENGINE WEBの記事でもご紹介する可能性があります。予めご了承ください。

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