ドライビング、レーシング……バーチャル! 3つ目のレッスン、初開講!
リアルには及ばないこともあるけれど、バーチャルだからできる練習もある。
リアルとバーチャルを繰り返し練習することが運転上達への近道だ!
文・写真=村山雄哉(ENGINE編集部)
3月19日、新しい「エンジン・バーチャル・レッスン」が始まった。講師はレーシング・ドライバーの澤圭太氏。他のレッスンと違うのは、これが「バーチャル」であることで、リアルなクルマは運転もしなければ、見ることもない。場所は東京・新宿区内の駅直結ビルの一室で、悪天候だって関係なし。最新のレーシング・シミュレーターを使って行う屋内型のレッスンだ。
エンジンでは常々「クルマの最大の楽しみは、やはり自分で運転すること」と言っているのに、なぜバーチャル? という声が聞こえてきそうだけれど、このレッスンも、自分で操る楽しみをもっと高めるための近道の1つなのだと、参加した今は自信を持って言える。目指すゴールは従来のレッスンと変わらないのだ。
今回のレッスンでは、富士スピードウェイのレーシング・コースをトヨタ86で走った。まずはフルブレーキングをして、止まる寸前に足の力を緩め、衝撃なく停止する練習から。ワインディングでもサーキットでも、運転のキモはコーナリングにある。中でも大切なのは、一連の動作のはじめにあるブレーキングだ。踏力をコントロールして、コーナーに向けてクルマの姿勢を作っていくのが、上手くコーナリングするコツだ。
シミュレーターでは、筐体の前後に2本ずつ装備されたダンパーが作り出す擬似的な動きと、画面の中の景色の変化からクルマの姿勢を感じ取らなければならない。ダンパーの動きは違和感がないほど自然だけれど、リアルよりはずっと穏やかだから、身体中の感覚を研ぎ澄ませる必要がある。ブレーキの練習が終わると、お待ちかねの周回走行に入った。シミュレーターでは、アクセル、ブレーキの踏力を示す表示が画面上に映し出されるから、どんな操作をしているかが外からでも一目瞭然だ。
時には澤講師がハンドル操作をサポートして適切な操舵のタイミングや量を教えてくれたり、目線を向けるべきポイントを指示棒で示してくれたりする。これはリアルのクルマでは絶対にできない、わかりやすい指導方法だと思った(ページ最上部のメイン写真)。
当日は、澤講師の周回タイム2分10秒を基準に何段階かの目標タイムが設定された。私が2分14秒から伸び悩んでいると、画期的な提案を受けた。それはなんと無音で走ること。エンジンやタイヤの音が聞こえないため、思い描いた運転操作と実際の挙動の差を、聴覚に頼らず感じ取らなければいけない。慣れないことで苦労したけれど、何周か走ってから音を戻してみると、すぐに2分12秒2まで縮まったから驚いた。耳以外の情報からより多くのことを感じ取れるようになった結果なのだと思う。
澤講師によれば、シミュレーターの練習だけでさらなるタイムアップを目指すと、リアルでは通用しない「シミュレーターを速く走らせる」癖がつきかねないそうで、一度実車で走ることを勧められた。モータースポーツは「ある程度の正解がわかった上で、走りながら微調整するスポーツ」なのだという。バーチャルとリアルを行き来して練習することこそが、運転上達への近道なのだ。
参加費用はエンジン・プレミアム・クラブ会員1万8000円、非会員2万3000円。次回は6月22日(木)。皆さんの参加をお待ちしています!