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2022.11.16

3カ月の期間限定で、ランボルギーニ・ウラカンEVOに乗ってみた!(その4 貸与期間の最後にジーロ・ジャパンに参加しました 猛牛たちと過ごした週末)

3カ月なんてアッという間である。ウラカンとのお別れの日を前に、ランボルギーニ・オーナーたちが集い、美しいロケーションを巡るドライビング・ツアーに参加した。ところが、最後にひと波瀾が……。

ウラカンSTOばかり5台が並んだ姿は壮観だ。

文=村上 政(本誌) 写真=ランボルギーニ・ジャパン

今年の夏は、とにかく雨が多かった。何度となくゲリラ豪雨が日本列島の各地を襲い、大きな被害をもたらした。「ランボルギーニ・ジーロ・ジャパン2022」に参加するため、私がウラカンで中央高速を諏訪湖に向かった7月15日も、朝から空模様はめまぐるしく変化していた。強い雨が時折、思い出したように高速道路を襲ってくる。前号でウラカンというスペイン語は英語のハリケーンで、とにかく嵐を呼ぶクルマだ、なんて書いたのが悪かったのか、本当に嵐に襲われることになったのだ。

八王子インターを過ぎたあたりから大渋滞に見舞われることになったのも、相模湖付近で雨の中、コーナーを曲がり損ねたクルマがガードレールに張り付いたためだった。しかし、そこを過ぎて甲府盆地に入ると雨は徐々に弱まり、諏訪湖についた時には完全に上がっていた。

予定より遅れて集合場所に到着すると、その古い工場跡の建物の中には、すでに40台を超える猛牛たちがひしめき合っていた。ウラカンやウルスはもちろん、アヴェンタドールSVJやディアブロGTといった希少モデルの姿も見られる。さらにこの夜、同じ建物の中で開かれたパーティでは、日本に上陸してナンバーがついたばかりのクンタッチLP1800-4も披露されたのだった。

日本に上陸してナンバーがついたばかりのクンタッチLPI800-4。

走って、食べて、飲んで、寝て、起きたらまた走る。「周遊」という意味のイタリア語である「ジーロ」の名を持つこのツアーを、ランボルギーニはイタリア本国はもとより、アメリカや中国をはじめ世界各地で開催しており、日本でも2017年に名古屋・大阪を舞台に初開催して以来、今回が5度目になるのだという。前夜祭のパーティは歌あり、有名マジシャンによるショーあり、派手な打ち上げ花火もありで、最後は猛牛オーナーたちと2次会で深夜までクルマ談義をして盛り上がった。

諏訪湖イベントホールに並べられた猛牛たち。工場の跡地というこの建物には独特の雰囲気があり、猛牛たちの姿によくマッチしていた。

微笑みながら手を振れるまでに

天気予報は雨だったのに、翌日は幸いにも曇り空。安全祈願の御祓いを受けた後、いざ出陣の太鼓に送られて諏訪湖を出発し、霧ヶ峰を越えて上田城を目指す。山道を連なって走るのは思いのほか楽しい。途中、沿道や行く先々でギャラリーが待ち受けていて盛んに手を振ってくれるのに最初は戸惑ったが、実はこのコースは事前にネットで告知されているのだという。自分だけだったら、なかなか手を振り返すことはできないが、こうやって連なって走っていると、自然に笑顔で手を振って応えられるようになってくる。3カ月前に93号車に初めて乗った時には、派手なボディ・カラーに戸惑い、道行く人の視線を感じると思わず目をそらしたものだ。でも、一カ月もしたら視線に慣れて、目が合っても平気なくらいにはなっていた。それが今やついに、微笑みながら手を振れるまでになったのだから、私もランボルギーニ乗りへの道を着実に歩んでいる、なんて自惚れてはイケナイ。これはあくまで借り物なのだから。

2日目、安全祈願のお祈りと出陣の太鼓に送られてスタート。霧ヶ峰を抜けて上田城でランチを取った後は、軽井沢を目指す。鬼押し出しの休憩所でも、陣太鼓の演奏に迎えられる。

というわけで、途中でほかの参加プレス関係者とクルマを交換し、この日の午後はウルスに乗った。ウラカンに比べると格段にラクチンである。まったりとした気分で上田市内を走り抜け、軽井沢に向かう山道に入って右足に力を込めると、途端に雄叫びを上げて猛牛に変身。まるでスポーツカーのような走りを楽しめるのだから、これもウラカンとはまた違う良さがあって、惚れ惚れ。 

この日は軽井沢に泊まって、またパーティ。歌あり、ショーあり。でも、さすがに疲れて早めに就寝した。最終日は軽井沢から長野市の善光寺に向かう。私の担当車はウラカンEVO RWDスパイダー。山道をルーフを開けて思いっきりV10サウンドを聴きながら走るのが楽しくて、これもいいナァと、また惚れ惚れ。善光寺では交通安全祈願の御祓いを受け、解散式をして、この盛りだくさんのツアーは終了したのであった。

3日目は軽井沢プリンスホテルの駐車場を出発し、松井田軽井沢線の峠道を抜けて碓氷軽井沢インターから信越道に乗り、長野市の善光寺を目指した。善光寺の参道の古い街並みを背景にして、色とりどりのランボルギーニがズラリと並ぶ姿は、意外にも不思議なマッチングの良さを見せていた。

再びウラカンに乗り、帰京の途につく。で、信越道を走っていたら、雲行きが怪しいと思う間もなく、突如、大雨が降り始めた。そして最後は、もう前のクルマのテールランプがなんとか見えるくらいのゲリラ豪雨に襲われたのには本当に参った。みるみるうちに路面には水が溜まっていく。それでもなんとかパーキング・エリアにたどり着くことができたのは、これが4WDのウラカン・クーペだったからだと思う。最後まで“嵐を呼ぶクルマ”だったけれど、その分、忘れられない強烈な印象を私の中に植えつけた特別な1台だった。  最後に前号で書いた駐車中のもらい事故の顛末を報告しておこう。バンパー交換と塗装などでかかった費用はなんと450万円。すべて相手の保険で賄えたから良かったが、これがそういう特別なクルマであることも決して忘れてはいけないだろう。

ENGINE 2022年11月号 掲載