「GRの世界」を体感するサーキット・イベントを開催。
GRスープラ、GRヤリス、GR86に続き、今年1月の東京オートサロンでは、
GRMNヤリスとGT3コンセプトを発表して勢いに乗るトヨタ・ガズー・レーシング。
その世界を体感するコラボ・イベントを袖ヶ浦フォレストレースウェイで開いた。
文=村上 政(本誌) 写真=神村 聖
なんと応募倍率が約6倍という大人気となったENGINEとトヨタ・ガズー・レーシングによるコラボレーション・イベント。これに当選した40人の読者諸兄は、誠に強い運の持ち主であるに違いない。しかもイベント当日は雲ひとつない快晴。最高のドライビング日和であるのに加えて、気合満点のGRは先導車のドライバーとして、日本のトップ・レーサーを5人も揃えており、参加者にとっては、「GRの世界」を堪能するのにこれ以上はない環境が用意されていたのである。
そしてさらに、すでに市販されているGRスープラ、GRヤリス、GR86に加えて、なんとなんと東京オートサロンで発表されたばかりの、あのGRMNヤリスに試乗するチャンスまで与えられたのだから、残念ながら当選を逃した人が聞いたら、歯ぎしりして悔しがることだろう。
そのほか、GR各車の開発陣も駆けつけて、試乗の合間に車両解説をしてくれたのも、「GRの世界」を深く知る手助けになったはずだ。
その情熱はしっかりと参加者に届いていたようで、試乗の前と後で、GRのイメージに変化があったかというアンケートに、「全く変わりました。本気度が伝わってきました」と答えてくれたのは、日産GT-R(R35)に乗るY・Yさん。アウディA6オールロードクワトロのY・Tさんも、「クルマを良く理解した、クルマ好きの方々が開発したクルマだと感じました。運転好きのツボを押さえたクルマになっていると思います。久しぶりに運転って楽しいんだ! と思えるクルマに出会えた感じがしました」と大絶賛である。
アバルト124スパイダーに乗るT・Kさんは、「メーカーさんがここまでやっちゃっていいの? と思うくらい(笑)突き詰めてる。個々の運転スキルの向上のため、クルマのパーソナライズを進めていく話を聞いたが、とても興味深く、賛同できるものでした」という声を寄せてくれた。パーソナライズというのは、GRが新たにスタートするプログラムのことで、モータースポーツの現場がそうであるように、ドライバーの運転データを分析し、ステアリング制御やエンジン特性、駆動配分といった要素を、一人ひとりに合わせてカスタマイズしていこうというものだ。GRMNヤリスで本格的に導入されるが、すでにGRヤリスのモリゾウ・セレクションにも、同様のプログラムが用意されている。
一方、「ドライバーが運転を楽しむ、クルマ生活を楽しむために何が必要かを本気で考えていることがわかり、トヨタのイメージが変わりました」(ジャガーFタイプのO・Sさん)というように、あのトヨタがこういうクルマをつくったことへの素直な驚きの声も多かった。「万人向け、経済性重視のトヨタ・ブランドとの決別。拍手喝采」(BMW540iのS・Hさん)。さらに、ポルシェ911カレラに乗るN・Kさんは、「モリゾウ氏がビデオの中で、〝トヨタにはムリでしょ、から、トヨタにもできる〟になったと発言していましたが、〝トヨタにしかできない〟に昇華しつつあるように見えます」と書いてくれたが、これはトヨタGRへの最高のホメ言葉だろう
袖ヶ浦フォレストレースウェイの約2 ㎞のコースを、レーシング・ドライバーの運転する先導車について2台が走行する形式で試乗イベントは行なわれた。試乗車はGRヤリス、GR86のMTとAT、GRスープラの各車に加えて、スペシャル・サプライズとしてGRMNヤリスのプロトタイプも登場。先導役を務めてくれたのは、トヨタ・ガズー・レーシングに所属するトップ・ドライバーたち。
写真の右から、大嶋和也、佐々木雅弘、影山正彦、土屋武士、松井孝允の各選手。参加者のスキルをバックミラーで確かめながら、適切な速度で引っ張ってくれた。GR開発陣もローリング・シャシーなどを携えて参集。試乗の合間に車両解説してくれた。
ENGINE 2022年5月号掲載