71回目を迎えたENGINE DRIVING LESSON、今年もスタート。
エンジン編集部のアルバイト大学院生、ムラヤマが読者と一緒に2022年1回目となるエンジン・ドライビング・レッスンに愛車のVWゴルフGTIで参加。果たして、ムラヤマの運転は上手くなったのか?
文=村山雄哉 写真=阿部昌也
時折、雨粒がチラつく夜明けの常磐道を走りながら、2年前の10月に初めてこのレッスンに参加した日も雨だったのを思い出した。2度目となる今回も、あまり天候には恵まれなかった。とはいえ、終わってみれば完全なドライからフルウェットまで、あらゆる路面状況を一日で体験できたのだから、またとない運転練習日和だったのかも知れない。
レッスンは筑波サーキットのジムカーナ場に作られたオーバル・コースでの午前中のカリキュラムから始まった。ここで運転操作の基礎となる“イーブン・スロットル”と“トレイル・ブレーキング”を徹底的に練習する。コーナリング中でもアクセル操作を積極的に使って速度を維持する前者も、薄くブレーキを引きずりながらターンインすることで前後の荷重をコントロールし、最適なクルマの姿勢をつくりだす後者も、私は前回教わっている。その時の記憶とトム吉田校長の教えを頭に入れつつ、しかし運転中はただただ直感的に、愛車ゴルフGTIを走らせた。
オーバルの走り方はふだんの運転でも意識するようにしていたのだけれど、やはりとても難しい。道幅に余裕のある公道と、半径16mの半円を直線でつないだオーバル・コースをきれいにパイロンに沿って走るのとでは、要求される運転操作の精度がまるで違うのだ。それに加えて、コースに若干の高低差があることが、微妙に操作を難しくしている。
私の運転では、フロントが重いゴルフは、どうしても下り側のコーナーでパイロンから離れがちになる。「クルマは道具だから、正しい使い方をすれば必ず思い通りに動いてくれる。その理想に少しでも近づき、再現性を高めるよう練習しよう」というトム先生の言葉が心に沁みた。
午後はコース1000に移り、午前中の成果を確認しながらフリー走行。初めて走る参加者には、インストラクターが運転するクルマへの同乗走行と、先導車を追う隊列走行によるレクチャーが行われたが、その時、私は先導車となったゴルフの助手席でインストラクターの運転を観察するという贅沢な体験をさせてもらった。ライン取りやブレーキの使い方を身体中のセンサーを総動員して感じ取る。いざ自らの運転でコースに入ると、最初のセッションから、前回より思い通りに走らせることができたように感じられた。
トム先生がすごいのは、遠く離れた場所から見ているだけで、まるで助手席にいるのでは、と疑ってしまうほど的確なアドバイスをしてくれることだ。「これだけは絶対にしない、という操作のルールを守りつつ、これは必ずやる、と決めたことを少しずつ増やす」のが運転上達の秘訣だという。それを意識しながら、私は5セッション計47周を走行。速く走ることは意識していなかったけれど、ラップ表を確認すると、最初と最後のセッションでは、平均、ベストともに、なんと4秒近くもタイムが縮まっていた。「速さは操作の結果である」という先生の言葉通りだ。
目に見えて変化がわかるのは、やはり嬉しい。夢のような時間はあっという間に終了。また参加します!
この日のエンジン・ドライビング・レッスンを締めくくったのは、イタリアの名門ワイナリー、フェッラーリ社から提供されたスプマンテがもらえる"じゃんけんファイト"。本誌・村上政編集長とじゃんけんをして勝ち残った風間俊雄さんに、『フェッラーリ F1®リミテッド・エディション"スズカ"グラス付き限定セット』(非売品)が贈られた(写真左)。また今回の参加者の中でベスト・ラップタイムを出した坂本貞典さんには『F1®フェッラーリ・ブリュット』を(写真右)。ともに今季からフェッラーリ社がF1®の公式パートナーに就任したことを記念した特別なボトルで、サーキットを走り終えた参加者たちも、シャンパンファイトならぬ"じゃんけんファイト"で大いに盛り上がった。
ENGINE 2021年7月号掲載